乳頭分泌・陥没乳頭

陥没乳頭とは?

  • 陥没乳頭とは?

    陥没乳頭は、乳頭が乳輪の内側に埋もれて見えにくくなる状態です。見た目の悩みにとどまらず、妊娠・授乳期に乳頭が突出しづらく母乳が出にくい、乳房が張って痛む、赤ちゃんが吸いにくいなどのトラブルを招くことがあります。 軽度であれば吸引器で乳頭を引き出す方法が有効ですが、再発を繰り返す場合や重度では、乳管を温存しつつ乳頭を外へ固定する手術で改善を目指します。気になる方は早めに乳腺外科で相談し、授乳指導やケアを一緒に検討してください。

陥没乳頭の種類

  • 仮性陥没乳頭

    乳頭が内側に隠れていても、手で引っ張ったり刺激を加えたりすると一時的に出てくるタイプです。 ただし、刺激をやめるとすぐに元に戻ってしまいます。

  • 真性陥没乳頭

    乳頭が乳輪の内側に完全に埋まっており、引っ張ったり刺激を与えても全く出てこない状態です。 重度の陥没乳頭に分類され、授乳時に母乳が出にくくなるなどのトラブルにつながることがあります。

陥没乳頭の原因

  • 先天性の原因

    先天性の陥没乳頭は、乳腺組織と乳管の発達バランスが不十分であることが大きな原因です。特に、乳頭を内側に引き込むように働く索状物(固い組織)が存在することで乳頭が突出しにくくなります。 また、家族性の傾向もあり、先天性陥没乳頭の約半数は遺伝によるものとされており、生まれつきの体質が関与しているケースが多いです。

  • 後天性の原因

    後天性の陥没乳頭は、乳房への打撲や外傷、急激な体重減少、乳腺炎の後遺症、外科的手術の影響など、さまざまな要因で起こることがあります。 中には乳がんなどの悪性腫瘍が原因となって乳頭が内側へ引き込まれるケースもあるため、注意が必要です。突然の陥没や片側のみの変化が見られる場合は、早めに乳腺外科を受診し、検査で原因を確かめることが大切です。

陥没乳頭を放置しているとどうなる?

  • 授乳が困難になる

    授乳が
    困難になる

    陥没乳頭を放置すると、特に中等度から重度の場合には赤ちゃんが乳首をくわえにくくなり、授乳がうまくできない可能性があります。

  • 感染症のリスクがある

    感染症の
    リスクがある

    陥没乳頭をそのままにしておくと、乳頭のくぼみに汚れや分泌物がたまりやすくなり、細菌が繁殖して乳腺炎などの感染症を起こしやすくなります。

  • コンプレックスになることがある

    コンプレックスに
    なることがある

    陥没乳頭を放置すると、授乳や感染の問題だけでなく、見た目に関する悩みやコンプレックスを抱く方人います。

陥没乳頭の治療方法

  • 保存的方法

    保存的治療は、乳頭を吸引する専用の器具を用いて少しずつ外に引き出す方法があります。効果を実感するまでに3ヶ月から2年ほどかかる場合があります。 ただし、乳頭への刺激は子宮収縮を引き起こす可能性があるため、妊娠中の人は注意が必要です。妊娠後期(9~10ヶ月)には早産や流産のリスクが高まるため、この治療法は行えません。

  • 観血的治療

    観血的治療は、乳管周囲のひきつれを剥がしたり乳頭に切れ目を入れて出す方法です。授乳を考えている場合は乳管を残す必要があるため、完全に出ないこともあります。 授乳予定がない場合は乳管ごと切る方法が選択されます。短時間で乳頭がきれいに突出しますが、再発すれば再手術が必要です。

乳頭分泌とは?

  • 乳頭分泌とは?

    乳頭分泌とは、妊娠や授乳期でなくても乳頭から液体が出てくる状態のことです。自分で乳首を押したときに出てくる場合もあれば、下着に付着して気づいたり、乳頭がジクジクしているように感じることで気づくこともあります。原因として、乳管内のしこり(良性や悪性)、ホルモンの影響、乳腺や乳管の炎症、皮膚の過敏症、外傷、内服薬の副作用などが挙げられます。 分泌物が母乳のような白色や黄色がかった透明の場合、問題がないことが多いです。また、乳管は複数本存在するため、数ヶ所の穴から分泌されている場合も心配ありません。 しかし、分泌に血液が混じっている場合や1つの乳管からだけ分泌している場合は注意が必要です。その場合は乳管内のしこりが原因となっている可能性があるため、早めに精密検査を受けることが大切です。

乳頭分泌をきたす疾患

  • 乳管内乳頭腫

    乳管内乳頭腫は乳管内にできる良性のしこりです。血性の乳頭分泌やしこりとして自覚されることがあります。 痛みは少ないですが乳がんとの区別は難しいため、症状があれば早めの受診が必要です。

  • 乳腺症

    乳腺症は乳腺に起こる良性の変化で、張りや痛みに加え乳頭分泌を伴うことがあります。 分泌は透明・白色・黄色透明が多く、両側または片側に見られますが多くは心配ありません。

  • 乳腺炎

    乳腺や乳管の炎症では乳頭から血液や膿のような分泌が出ることがあり、赤みや熱感、痛みを伴うこともあります。 乳腺炎では抗生剤治療が必要となるため早期受診が重要です。

  • 乳がん

    乳管内の悪性しこりが刺激となり、赤色や茶色の血性分泌が出ることがあります。 多くは1腺管から繰り返し出ます。必ずしも乳がんとは限りません。

    「乳がん」について

乳頭分泌の原因

  • しこりがある

    乳房のしこりには良性と悪性があり、良性では乳管内乳頭腫が多く血性分泌や膿瘍による白色~緑色の分泌が見られることがあります。 悪性では乳がんが原因で血性分泌が出ることがあり、量が徐々に増えるのが特徴です。男性乳がんでも血性分泌が初期症状となる場合があるため注意が必要です。

  • ホルモンの分泌に異常がある

    プロラクチンという乳汁分泌を促すホルモンが高い場合、乳頭から分泌物が出ることがあります。多くは左右両側の乳頭の複数の穴から分泌されます。 原因は薬の副作用や脳の病気などで、血液検査によってプロラクチン値を確認することが可能です。

  • 生理的な範囲での分泌物

    乳腺症の症状の1つとして分泌物が出ることがありますが、マンモグラフィや超音波検査で異常がなければ心配はありません。 その場合は経過観察となります。日常生活に大きな影響を及ぼすことも少ないため、定期的な検診で様子をみることが大切です。

  • その他

    乳頭からの分泌物に見えても、実際には乳頭や乳輪部の皮膚炎による浸出液が付着している場合があります。 この場合はかゆみや皮膚の赤みを伴うことが多く、乳頭分泌とは異なります。治療は塗り薬による対応が中心となります。

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