高濃度乳腺(デンスブレスト)とは、乳房内の乳腺組織が脂肪組織より多い状態を指します。 マンモグラフィでは乳腺が白く、脂肪は黒く写ります。そのため、乳腺の割合が多い高濃度乳腺では画像全体が白く映り、同じく白く写る乳がんの病変が隠れてしまう可能性があります。そのため、がんの早期発見が難しくなるリスクがあります。 高濃度乳腺の方は、マンモグラフィに加えて超音波検査を併用することで、より正確で精度の高い乳がん検診が可能になります。
高濃度乳腺そのものに特別な症状はありませんが、月経前になると乳房の張りや痛みを感じることがあり、月経前症候群の一部として現れる場合があります。 通常は病気ではなく、症状だけでは高濃度乳房かどうかを判断することはできません。
高濃度乳腺は全体の約10%に見られ、日本人では欧米に比べてその割合が高いです。 若い世代から閉経前の女性に幅広い年齢層に見られますが、閉経後でもホルモン補充療法を受けている方では高濃度乳腺が残ることがあります。
不均一高濃度乳腺は全体の約50%に見られ、マンモグラフィでは乳房上部に白く映る乳腺組織が多く確認されます。 40~50代に多く、この年代は乳がん罹患率も高いため、検査の際には慎重な判定と必要に応じた追加検査が重要です。
散在性乳腺は全体の約30%に見られ、マンモグラフィでは乳腺が線状に写るのが特徴です。 脂肪性乳腺と同じく画像上で乳腺の白い部分が少ないため、異常所見が比較的見つけやすく、乳がんの早期発見にもつながりやすいタイプとされています。
脂肪性乳腺は全体の約10%に見られ、高齢女性に多いタイプです。 乳腺の大部分が脂肪に置き換わっているため、マンモグラフィでは白く映る部分が少なく、異常所見との区別がしやすいです。そのため、乳がんなどの病変が比較的発見されやすくなっています。
| 年代 | 割合 | 発見のしやすさ | |
|---|---|---|---|
| 高濃度乳腺 | 30代〜40代 閉経前 |
約10% | 見つけにくい |
| 不均一高濃度乳腺 | 40代〜50代 閉経前〜閉経周辺期 |
約50% | 見つけにくい |
| 散在性 | 中高齢 多授乳女性 |
約30% | 比較的見つけやすい |
| 脂肪性 | 高齢女性 多授乳女性 |
約10% | 比較的見つけやすい |
高濃度乳腺の原因は明確には解明されていませんが、年齢や授乳経験、生活習慣などの影響を受けます。 20~30代の若い女性や授乳期の人、さらに、アジア人女性は乳腺濃度が高くなりやすく、マンモグラフィで病変が隠れやすいです。
乳がん細胞はマンモグラフィで白く映りますが、高濃度乳腺では乳腺自体も白く映るため重なって病変が隠れてしまうことがあります。 その結果、病変が背景に紛れて見えにくくなり、異常の判別が難しくなるのが特徴です。
乳腺は年齢とともに脂肪に置き換わるため多くの人は加齢で高濃度乳腺ではなくなりますが、乳腺が残って高濃度乳腺のままの人は乳がんの発症率がやや高いです。 関連性はまだ解明途中ですが、自分の乳腺タイプを知ることは検診方法の選択や早期発見に役立ちます。
乳房の形の変化、皮膚の引きつれ、しこりや痛みの有無、乳頭の状態などは視診・触診で確認し、必要に応じてマンモグラフィやエコー検査へとつなげられます。
高濃度乳腺(デンスブレスト)の方に対する超音波(エコー)検査は、マンモグラフィでは見つかりにくい小さな腫瘤を発見するのに非常に有効です。 超音波は乳腺の濃度に左右されず描出でき、マンモグラフィと併用することで乳がんの検出精度が大幅に向上し、高濃度乳腺では隠れた病変を見つけやすくなります。

マンモグラフィ検査は乳房内の異常を見つけ出す有効なツールですが、高濃度乳腺(デンスブレスト)では、乳腺組織と腫瘍の両方が白く写るため病変が背景に紛れやすく、視認が非常に難しくなります。 この「マスキング効果」により、小さながんが見逃されてしまうことがあるため、デンスブレストの方には超音波検査(エコー)との併用が強く推奨されます。
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