
乳腺炎とは、乳房の中で母乳を乳頭まで運ぶ乳腺に炎症が起こる病気です。母乳が乳管内で滞ったり、細菌が乳頭の小さな傷から侵入したりすることで発症します。 症状としては、乳房の腫れや赤み、強い痛み、発熱や悪寒などがあり、授乳中の母親に多く見られます。特に産後2~3週間頃に発症することが多く、発症頻度は2~33%と幅があります。 悪化すると膿がたまる乳腺膿瘍に進展することもあり、早期のケアと医療機関での適切な治療が重要です。
乳腺炎の初期には、乳房が張る、部分的に硬くなる、押すと痛む(圧痛)などの症状が現れます。これは乳腺に母乳がたまり始めているサインで、炎症の一歩手前の状態です。 硬くなった部分を優しくマッサージしながら赤ちゃんに母乳をしっかり飲んでもらったり、自宅や助産院などで搾乳を行ったりすることで改善が期待できます。 しかし、こうした対処をしても症状が続いたり悪化する場合には、早めに医療機関を受診し適切な治療を受けることが大切です。
急性うっ滞性乳腺炎は、母乳が乳腺に滞ることで起こる炎症です。 赤ちゃんが母乳を飲む量が少ない、授乳間隔が不規則、乳管が開きにくいなどで母乳がたまり発症します。
急性化膿性乳腺炎は、母乳が乳腺に滞留している際に乳頭の傷から細菌が侵入し感染して化膿する病気です。 高熱や筋肉痛など風邪に似た症状を伴い、抗生剤投与や切開排膿など外科的処置が必要になることがあります。

乳腺炎を防ぐためには、母乳が乳腺に滞らないよう日頃から赤ちゃんにできるだけたくさん飲んでもらうことが大切です。 もし母乳が溜まって張りや痛みを感じる場合には、無理をせず早めに医師に相談し、適切な対応を受けるようにしましょう。

乳腺炎では炎症により発熱などの症状が出ることがあり、その際は投薬治療が行われます。 授乳中であることを必ず医師に伝えれば、授乳を続けられるよう適切な薬が処方されます。症状に応じて母乳を止める薬が処方されることもあります。

乳腺炎は乳管が詰まったり狭くなったりして母乳が流れにくくなることで発症することがあります。 この場合、授乳の前に乳管の詰まりを和らげるように乳房をマッサージすると、母乳の通りが良くなり症状の改善や予防に効果的です。
乳腺炎と食事の関係は明確ではありませんが、高カロリー高脂質の食事は母乳の過剰分泌を招きリスクを高めます。 授乳中は通常よりも350kcalほど多くのカロリーが必要ですが、和食中心を心がけましょう。また水、分は不足しがちなので意識して摂り、1日2リットル程度を目安にしましょう。
授乳時は抱き方や授乳間隔を工夫することで母子双方の負担を減らせます。乳腺は放射状に広がるため、同じ抱き方ばかりだと母乳が一部に残りやすく乳腺炎の原因になります。 横抱き・縦抱き・添い寝抱き・小脇抱きなど抱き方を変えることで母乳がまんべんなく流れ、乳腺の通りも改善されます。
首や肩のこりは血流を悪化させ、乳房への血流も低下して乳腺炎を招くことがあります。 家事や育児で忙しくても、合間にストレッチや肩回しなどを取り入れて体をほぐし、血流を促すことが大切です。こりを予防することで乳腺炎のリスクも減らせます。
母乳は血液から作られるため、体が冷えると血管が収縮し乳汁の流れが悪くなり、詰まりの原因となります。 季節を問わず体を冷やさないよう心がけ、衣類や室温を調整することが大切です。冷たい食べ物や飲み物を控えることも乳腺炎予防に有効です。
脱水状態に近づくと血液量が減り、母乳が濃くなって乳腺に詰まりやすくなります。 授乳期は特に水分補給が重要で、1日2リットル以上を目安にこまめに摂取しましょう。喉が渇く前に飲むことを意識することが予防につながります。
授乳期の乳腺炎は通常1~2日で治まることが多いですが、症状が強い場合や熱が続く場合、しこりが残る場合には受診が必要です。別の病気が同時に起こっている可能性があるため注意しましょう。 また、授乳期以外で乳腺炎の症状が出ると治りにくいことが多く、乳がんなどの可能性も否定できません。症状が長引く場合や改善しない場合は、早めに医療機関を受診してください。
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