胸の痛みや張り

「胸に痛み・張りが…」
これって乳がん?

  • 「胸に痛み・張りが...」これって乳がん?

    生理前は女性ホルモンが一時的に増え、乳腺の間にむくみが起こって張りや違和感を感じやすくなります。多くは生理に伴う正常な変化で、治療の必要はありません。ただし、生理前でもないのに張りが続く、痛み・しこり・乳頭分泌などの症状を伴う場合は、乳がんや乳腺症、線維腺腫などの可能性があります。気になる変化が続くときは自己判断せず、早めにご相談ください。

胸の痛み・張りの原因

  • 更年期障害

    閉経の前後10年間を更年期と呼び、この時期は女性ホルモンのエストロゲンが減少することで自律神経のバランスが乱れ、心身にさまざまな症状が出ます。いわゆる更年期障害と呼ばれるもので、その症状のひとつとして胸の張りを感じることがあります。

  • 生理前後

    排卵の時期や生理前の1週間は、女性ホルモンが増える影響で乳腺が一時的に発達します。そのため乳房が張ったり、チクチクとした痛みを感じたりすることがあります。

  • 妊娠初期

    妊娠中は黄体ホルモンが増えるため、妊娠初期にはその影響で胸の張りや痛みを感じやすくなります。これは母乳をつくる準備として乳腺が発達する自然な変化で、多くの妊婦さんが経験します。

  • 授乳中

    授乳期に乳房が張るのは母乳がしっかり作られている証拠ですが、張りに加えて痛みがある場合は乳腺炎の可能性があります。授乳を始めたばかりの頃は、赤ちゃんが飲む量と母乳の産生量のバランスが合わず、乳房に母乳が残ってしまうことが原因になります。さらに、授乳初期は乳頭が傷つきやすく、そこから細菌が侵入して感染を起こすこともあります。

  • 成長期

    思春期の二次性徴では女性ホルモンの分泌が活発になり、身体が大人へと変化していきます。その過程で乳腺が発達するため胸がふくらみ、張りや痛みを感じることがあります。これは成長に伴う自然な変化であり、多くの女性が経験するものです。

  • ホルモンバランスの乱れ

    不規則な生活や睡眠不足、疲れが重なるとホルモンバランスが崩れ、胸の張りをはじめ頭痛や顔のほてり、気分のイライラといった不快な症状が出ることがあります。多くは生活習慣の見直しで改善しますが、症状が続く場合は婦人科や乳腺外科で相談することが安心につながります。

胸の張り・痛みで考えられる病気

  • 乳腺症

    乳腺症は女性ホルモンの影響で起こる良性疾患で、胸の張りに加えてしこりや痛み、乳頭からの分泌など多様な症状がみられます。乳がんと似た症状を示すこともあるため、正確な診断が欠かせません。多くの場合、食生活の見直しやストレスケアなど生活習慣を整えることで症状が軽くなることがありますが、気になる変化が続くときは検査を受けることが大切です。

  • 高プロラクチン血症

    高プロラクチン血症は、プロラクチンというホルモンが過剰に分泌されることで起こる病気です。出産していないのに乳汁が出る乳汁漏出のほか、月経不順や排卵障害による不妊、さらには頭痛や視力障害などを伴うこともあります。 原因の多くは下垂体にできる良性腫瘍で、薬による治療で改善できるケースが多いため、症状がある場合は早めに医療機関を受診することが大切です。

  • 乳腺線維腫

    乳腺線維腫は乳腺にできる最も一般的な良性腫瘍で、境界が明瞭で弾力のあるしこりとして触れるのが特徴です。多くは小さいまま経過しますが、大きくなると胸の張りや違和感を伴うこともあります。

  • 乳がん

    乳がんでは乳房の張りや痛みを自覚することは少ないですが、痛みをきっかけに検査を受けて発見される場合もあります。

    「乳がん」について

乳腺炎

  • うっ滞性乳腺炎

    うっ滞性乳腺炎は授乳期に起こりやすい乳腺炎で、特に初産婦に多くみられます。乳汁が乳腺内で滞ることで発症し、乳房の張りや痛み、赤み、熱感などの症状を伴います。 進行すると38℃以上の発熱をきたすこともあり、早めの授乳や搾乳での改善が望まれますが、症状が強い場合は医療機関での治療が必要です。

  • 化膿性乳腺炎

    化膿性乳腺炎は乳頭の小さな傷などから細菌が入り込み、感染や炎症を起こす乳腺炎です。授乳期以外でも発症することがあり、乳房の痛みや張り、赤み、強い熱感を伴います。38℃以上の発熱や倦怠感、筋肉痛が出ることもあり、乳汁が黄色く濁ってドロドロとした状態になることもあります。 自然に治ることは少なく、抗菌薬や切開排膿が必要になることもあるため、症状があれば早めの受診が大切です。

  • 慢性乳腺炎

    慢性乳腺炎は、乳房の一部が硬くなり痛みを伴いながら、数ヶ月にわたり悪化と軽快を繰り返すのが特徴です。授乳終了後数年以内に起こることが多いですが、授乳経験のない方でも発症することがあります。 乳がんと症状がよく似て紛らわしいため、注意が必要です。乳房の張りや痛みが主な症状で、発熱や倦怠感などの全身症状は比較的軽いことが多いですが、診断のためには医療機関での精査が欠かせません。

胸の痛み・張りがある時の対処法

  • 締め付けない下着を着用する

    締め付けない
    下着を着用する

    きつい下着は乳房を圧迫してしまい、その締め付け感を「張り」と勘違いすることがあります。サイズだけでなく、形や素材も自分に合ったものを選ぶことが大切です。 ノンワイヤータイプやカップつきキャミソールは圧迫感が少なく、痛みや張りを感じにくい傾向があります。快適な下着を選ぶことで、乳房の不快感を和らげることにつながります。

  • 食事の栄養バランスを考える

    食事の栄養
    バランスを考える

    栄養バランスの良い食事は、ホルモンの安定や体調の改善に役立ちます。肉やお米だけでなく、魚や野菜、果物などを組み合わせて、偏りのない食生活を意識しましょう。 忙しくて食事だけで補いにくい場合には、必要に応じてサプリメントを利用するのも1つの方法です。無理なく続けられる工夫を取り入れることで、乳房の張りや不調の予防にもつながります。

  • ストレスを溜めないようにする

    ストレスを溜め
    ないようにする

    ストレスが溜まると自律神経が乱れ、結果的にホルモンバランスも崩れてしまいます。その影響で胸の張りや体調不良を感じやすくなることがあります。 日常生活の中で意識的にストレスをため込まないことが大切で、スポーツや趣味に打ち込んだり、ゆったりとしたリラックスタイムを取ったりすることで心身のバランスを整えやすくなります。

  • 体を冷やさないようにする

    体を冷やさない
    ようにする

    体が冷えると臓器の働きが弱まり、子宮や卵巣の機能にも影響してホルモンバランスが乱れやすくなります。冷えを防ぐためには、衣類や室温を工夫するだけでなく、適度な運動や湯船に浸かる習慣を取り入れることが効果的です。 日常生活の中で意識的に体を温めることで、胸の張りをはじめとした不調の予防にもつながります。

胸のしこりに気づいたら
何科を受診する?

乳房に痛みや張りなどの違和感を覚えたときは、婦人科や乳腺科、乳腺外科を受診するのが基本です。
特に、産後の乳腺炎は産婦人科での診察が適している場合が多いですが、それ以外のしこりや分泌、皮膚の変化といった症状は、乳腺科や乳腺外科を受診することで専門的な検査や診断を受けられます。自己判断せず、早めに専門医に相談することが安心につながります。

胸の痛み・張りの受診目安

乳房に痛みや熱感があると「乳がんなのでは」と心配になる方は多いですが、乳がんは初期の段階では痛みを伴わないことが一般的です。 ただし、硬くて動かしにくいしこりがある場合や、乳房の一部がへこんで皮膚がひきつれる場合、乳首から血の混じった分泌物が出る場合は注意が必要です。 また、片側の乳房だけが腫れる、赤みや腫れ、痛みを伴い炎症性乳がんを疑うような症状があるときは、早めに乳腺外科を受診して検査を受けることをおすすめします。

胸の痛み・張りの検査・診断方法

  • 視診・触診

    視診・触診

    視診・触診では、医師が乳房を丁寧に手で触れて、しこりの有無や張り・硬さ・大きさを確認します。左右差や皮膚の状態、動きやすさなどもあわせてチェックし、必要に応じてリンパ節の腫れも調べます。

  • 超音波検査(エコー)

    超音波検査(エコー)

    超音波検査(エコー)は、乳房にプローブをあてて内部の状態を画像で確認する検査です。高濃度乳腺でマンモグラフィでは見えにくい方でも、しこりや異常の位置を把握しやすいのが特徴です。 痛みのない検査なので、乳房の張りが強くマンモグラフィが受けにくい場合にも安心して行えます。

  • マンモグラフィ検査

    マンモグラフィ検査

    マンモグラフィ検査は、乳房を板で挟んで平らにし、エックス線を当てて内部を画像化する方法です。視診や触診だけでは分からない腫瘤や微細な石灰化、乳腺の構造の乱れを詳しく確認できます。 特に乳がん検診で重要な検査の一つとされ、早期発見に役立ちます。もし異常が疑われる所見が見つかった場合には、組織診(針生検)を追加してさらに精密に調べることが可能です。

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