胸のしこり

「胸にしこりが…」
これって乳がん?

  • 「胸にしこりが...」これって乳がん?

    胸にしこりの原因は良性の変化や炎症などさまざまで、必ずしも乳がんとは限りません。ただし、放置したり「きっと大丈夫」と自己判断したりすることがいちばんのリスクになります。
    乳がんは早期発見で治癒が十分に期待できるため、不安を一人で抱え込まず、まずは乳腺外来にご相談ください。マンモグラフィや超音波などの検査で原因を確かめ、必要に応じて追加検査を受けることで、最適な対応ができます。早めの受診があなたの安心と健康を守ります。

押すと痛い胸のしこりは
悪性・良性?

胸にできるしこりが押すと痛かったり、指で触ると動くように感じられる場合、多くは線維腺腫や嚢胞などの良性疾患であることが多いです。
一方、乳がんのしこりは硬く、乳房の中で動きにくく、痛みを伴わないことが特徴です。
ただし、これはあくまで傾向であり、例外も少なくありません。そのため、痛みの有無や動きやすさだけで良性・悪性を区別することはできません。確実に診断するにはマンモグラフィやエコー、さらに、必要に応じて生検などの検査が欠かせないため、気になるしこりを見つけた際は早めに医療機関を受診することが大切です。

胸のしこりで考えられる
原因・病気

  • 線維腺腫

    線維腺腫は、正常な乳腺組織と繊維成分が一緒に増えることでできるしこりで、若い女性に多く見られます。
    大きさは1~2cmほどの楕円形が典型で、表面はなめらかでよく動き、ゴムのような弾力があります。周囲との境界がはっきりしているのも特徴で、3cm以上になることは少なく、良性の代表的なしこりとして知られています。

  • 乳腺症

    乳腺症は、エストロゲンが相対的に過剰になる影響で起こり、特に中年女性に多くみられます。
    乳房の表面近くにデコボコが連なるような、広がって平たいしこりを触れることがあり、月経周期で変動することもあります。気になる変化が続くときは、自己判断せず検査で確認してください。

  • 乳腺炎

    乳腺炎は、乳汁が乳腺内に滞って炎症を起こしたり、乳頭の傷から細菌が侵入して感染し発症します。
    産後の授乳期に起こりやすく、しこりに加えて張り・腫れ・痛み・赤み・熱感を伴います。発熱や倦怠感、筋肉痛が出ることもあるため、症状が続く・悪化する場合は早めに受診して治療を受けてください。

  • 葉状腫瘍

    葉状腫瘍は、乳房に発生するやや珍しい腫瘍で、30~50代の女性に多くみられます。画像検査では良性の繊維腺腫と区別がつきにくく、数ヶ月のうちに急に大きくなって10cm近くに達することもあります。
    発生自体は稀ですが、約20%は悪性とされるため注意が必要です。針生検で葉状腫瘍と診断された場合は摘出が勧められます。3cmを超えて増大する腫瘍は繊維腺腫との区別が難しいため、手術による摘出を検討することが望まれます。

  • 乳腺嚢胞

    乳腺嚢胞は、乳管内に分泌液がたまることで発症し、30~50代の女性に多くみられます。
    しこりは比較的やわらかく触れることが多く、乳頭からの分泌を伴う場合もあります。良性であることがほとんどですが、しこりや分泌が続くときには乳腺外来で検査を受けて確認することが安心につながります。

  • 乳管内乳頭腫

    乳管内乳頭腫は、乳管内にできる腫瘍の1つで、30~50代の女性に多くみられます。症状としては乳頭からの透明な分泌や血の混じった分泌が特徴的で、時に乳房内にしこりを触れることもあります。
    多くは良性ですが、中には悪性の可能性もあるため、気になる分泌やしこりがある場合は早めに受診して検査を受けることが大切です。

  • 乳がん

    乳がんは、胸の張りやしこりだけでなく、乳房の皮膚がただれたりへこんだりする症状が出ることがあります。また、左右の乳房の形に差があることに気づき、受診される患者様も少なくありません。
    こうした変化を見逃さないためには、日常的なセルフチェックを習慣にすることが大切です。さらに、乳がん検診を定期的に受けることで早期発見につながり、治療の選択肢を広げることができます。

    「乳がん」について

胸のしこりに気づいたら
何科を受診する?

胸のしこりに気づいたら、マンモグラフィやエコー検査が受けられる乳腺外科を受診してください。
必要に応じて組織検査や生検にも対応し、客観的なデータに基づく正確な診断につなげます。

胸のしこりの受診目安

胸のしこりに気づいたときは、次のような症状が見られる場合に受診を検討してください。しこりが2週間以上消えずに続いたり、少しずつ大きくなっているときは注意が必要です。
また、硬くて動かないしこりや、乳頭から血が混じった分泌物や透明・黄色の液体が出る場合も受診の目安となります。
さらに、乳房の皮膚にくぼみや変色、ただれがあるときや脇の下のリンパ節が腫れている・痛みを感じるときには、早めに乳腺外科を受診して検査を受けることが大切です。

乳房の左右差・変形の
検査・診断方法

  • 視診・触診

    視診・触診

    診察ではまず視診と触診を行い、左右差や皮膚のくぼみ・発赤・むくみの有無を確かめます。続いて乳房と脇の下のリンパ節を丁寧に触れ、しこりの有無、硬さ、サイズ、境界の明瞭さ、動きやすさ、痛みの有無を調べます。

  • 超音波検査(エコー)

    超音波検査(エコー)

    超音波検査では乳腺の内部を詳しく観察でき、しこりの形や硬さ、内部の構造を確認することができます。 乳腺が発達していてマンモグラフィだけでは見えにくい若い人やデンスブレストの人に有効です。X線撮影と併用することで、小さな病変や隠れたしこりも見つけやすくなり、より正確な診断につながります。

  • マンモグラフィ検査

    マンモグラフィ検査

    マンモグラフィは乳房を機械で挟んでX線撮影を行う検査で、40歳以上の乳がん検診で推奨されています。主に石灰化や腫瘍の有無を確認するのに役立ちます。 3D撮影が可能なトモシンセシスでは1mmごとの断層画像として表示できるため、乳腺に隠れて見えにくい微小な石灰化や病変をより正確に捉えることが可能です。これにより診断の精度が高まり、早期発見にもつながります。

  • 乳房MRI検査

    乳房MRI検査

    MRI検査は強い磁力を利用して乳房内部を画像化する方法で、造影剤を使うことで血流の状態や病変の性質をより詳しく調べることができます。 マンモグラフィや超音波検査だけでは判断が難しいときや、しこりの範囲や広がりを調べる必要がある場合に有効です。

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